この映画は法政大学学生会館の末期――解体時の映像と灰野敬二氏のピアノ演奏によって構成されている。前者は人の息吹きさえ感じず、がらんどうの廃墟となってべったりと大学に張りついているホール棟。(監督談:工事中の為、学生がいない状態で大学に許可を得て撮影とのこと)後者は法政学館音楽文化の象徴である灰野敬二氏が、これまた西洋音楽の象徴であるピアノを即興によって解体していく。(監督談:灰野氏はピアノのライブ演奏は初めて挑戦とのこと)この両者の交差によってこの映画は成立し、相互に作用している。法政大学学生会館のドキュメンタリー映画といえば、80年代における幾多のGIGや90年代のインプロビゼーション性の強いコラボレーションの映像、上映映画の断片等々を使えば学生会館の文化的営みをストレートに描くこともできる。なぜならば、安井監督は初期のロックスオフとシアターゼロの...
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